2019年にメルセデス・ベンツが日本市場初の電気自動車EQCを導入して、すでに7年が経過しました。当初の予想より普及は緩やかになっていますが、バッテリーの進化などによって速度は回復しそうです。今回は2024年に導入されたGクラスの電気自動車「G580 with EQ Technology」で1000kmのロングドライブを行いました。最新の電気自動車の実力や充電インフラ状況をご紹介します。
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バッテリー効率を考慮したタイミングの充電を
ライターの萩原です。
最近は、国内外問わず電気自動車(BEV)に試乗する機会が増えました。一時に比べるとBEVの普及スピードはゆるやかになってはいますが、バッテリーの進化次第で今後販売台数は伸びていくように感じています。
メルセデス・ベンツは2019年7月に日本市場における初のBEV「メルセデス・ベンツ EQC」を導入して以降、BEVのラインアップを充実させてきました。2024年10月には究極のオフローダーとして人気の高いGクラスのBEV版である「G580 with EQ Technology Edition1」(以下、G580 with EQ )も導入しました。
▲G580 with EQ Technology Edition1のフロントスタイル
今回、大阪で開催するGクラスのオーナーミーティングにG580 with EQで参加するため、東京〜大阪往復1000kmのロングドライブを行いました。走行距離の短さや充電スタンドの普及率などで敬遠されがちなBEVですが、今回はBEVで快適にロングドライブする方法を見つけましたので紹介します。
今回用いたのは、38万円のオプション装備ブラックエクステリアパッケージを装着した、メルセデス・ベンツ G580 with EQ Technology Edition1です。
▲G580 with EQ Technology Edition1のリアスタイル
2024年10月に日本市場に導入されたG580 with EQは、Gクラス伝統のデザインや悪路走行性能はそのままに、BEVならではの革新的なドライブコンセプトによってエンジン搭載モデルでは味わえない全く新しいオフロード体験を提供する電気自動車です。
G580 with EQのために開発された専用シャシーは、Gクラス伝統のラダーフレームを採用。4輪独立式モーターおよび大容量リチウムイオンバッテリーを搭載するため、さらに剛性が強化されているそうです。
▲各タイヤの近くにモーターがレイアウトされ合計4基を駆動させ走行する
また、新たに開発されたド・ディオン式のリジットリアアクスルを採用。そしてメルセデス・ベンツのBEVで初となる革新的な4輪独立式モーターを搭載。2速のトランスミッションと制御システムとともにeATS(電動パワートレイン)を形成しています。
各モーターはラダーフレームの各タイヤ付近に配置され、ホイールとデュアルジョイントシャフトによってつながっています。これにより、サスペンションの動きによってキャンバー角が変化しないため、タイヤが路面にしっかりと接地し、常に安定したハンドリングを維持することができるのです。
4基のモーターによるシステム合計の最高出力は587ps、最大トルク1164Nmを発生。横滑り防止システムのESPと集中制御ユニットによって、モータートルクは各輪に常に正確に伝達し、オン/オフ問わず卓越したドライビングパフォーマンスを発揮します。
なかでもオフロード走行時にはその場で360°回転するGターンをはじめ、小さなステアリング操作でも大きく方向を変えられるGステアリングやオフロードクロール機能など、BEVならではの革新的な新機能によって高い悪路オフロード走行性能を担保しています。
▲向かって左の普通充電は6kW、右の急速充電は150kWに対応
G580 with EQに搭載されているバッテリーは、116kWhという大容量のリチウムイオンバッテリー。最大4mm厚のスチール製ラダーフレームに組み込まれたバッテリーは、車両の低重心化に貢献するとともに車体剛性の大幅アップに貢献しています。この大容量リチウムイオンバッテリーと高効率な同期モーターによって、満充電時の走行可能距離はWLTCモードで約530kmを実現しています。
エクステリアは、Gクラス伝統のスタイリングはそのままに、後端を持ち上げた力強いボンネットフード、リアホイールアーチに加えられたエアカーテンなどBEV専用のディテールを採用しています。また、テールゲートにはスペアタイヤに変わって、充電ケーブルや工具を収納できるデザインボックスを採用しています。
▲エンジン車ではスペアタイヤが装着収納されるバックドアに、充電ケーブルなどを収納するデザインボックスを採用
一方インテリアは、丸型のエアアウトレットや助手席型のグリップハンドルなどGクラス伝統のデザインを踏襲。G580専用に再設計された特徴的なデフロック機能のスイッチ周辺は、Gターンやステアリングのスイッチがレイアウトされ、エンジン車との差別化を図っています。
▲G580 with EQ Technology Edition1のインテリア
さらに、G580 with EQはAMGラインパッケージをはじめ、ナッパレザーシートやナッパレザーダッシュボード、MICROCUT ルーフライナーが標準装備。さらに専用装備としてステアリングやシート、ダッシュボードなど随所にブルーステッチが施されています。
▲シート表皮にはナッパレザーを採用。マッサージ機能やヒーター&クーラー機能も搭載し快適
果たして、東京大阪間500kmで充電した回数は?
概要はここまで。いよいよG580 with EQのロングドライブを紹介しましょう。
先ほどもお伝えした通り、G580 with EQの満充電時の走行可能距離は、カタログスペックで530kmとなっていますが、東京を出発する際バッテリー100%の状態で443km。エアコンをつけると423kmと表示されました。エアコンをつけた状態で燃費ならぬ電費はカタログスペックの約80%なので(天気や気温などによって変わりますが)約400kmが目安と言えます。
▲センターディスプレイなどでバッテリー容量や航続走行距離などがひと目で確認できる
東京を出発してからは目立った渋滞もなく、東名から新東名高速を制限速度いっぱい設定したアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックでクルージング。角張ったボディでお世辞にも空気抵抗が良いとは言えないG580 with EQですが、高速走行でも風切り音やロードノイズは抑えられており、車内での会話はとてもスムーズでした。
▲走行可能距離を最大化できるヒントを与えてくれる
東京を出発して232kmの地点にある新東名高速・浜松SA下りに到着。この時点でバッテリーの残量は42%、走行可能距離は174〜181kmでした。そろそろ充電しておきたいタイミングです。
116kWhという大容量バッテリーのG580 with EQでストレスなく充電するには150kW仕様の急速充電器は不可欠。ちょうど立ち寄った浜松SAでは充電中のクルマはおらず、150kWの急速充電スポットを独占でき、30分でバッテリー容量は85%、走行可能距離も353kmまで回復しました。
その後も順調に走行し、そのまま充電をしなくても大阪のホテルに到着できそうでしたが、念のため途中の名神高速・草津PA下りで2度目の充電。ここの急速充電器は90kW仕様でしたが、また独占できたため、バッテリー容量は57%、走行可能距離は216kmまで回復できました。
▲このタイプの急速充電器は、1台で利用すれば最大150kWの出力で充電できるが、2台でつながると最大出力は90kWとなる
最終的にバッテリー容量44%、走行可能距離185kmを残して大阪に到着。手配した大阪のホテルには6kWの普通充電器があるため、翌朝までに100%とする予定です。しかし残り半分ほど充電すればいいとして、満充電まで「約11時間(かかる)」という表示には、あらためてG580 with EQのバッテリー容量の大きさに驚かされた次第。
翌朝は無事に充電100%、走行可能距離420km(エアコンON時)でオーナーズミーティングに出発。ミーティングではGクラスオーナーを乗せてプチ試乗などを行ったことで、走行可能距離360kmで大阪を出発しました。帰りもほとんど渋滞がなく充電スポットである新東名高速道路・浜松SA上りにバッテリー量29%、走行可能距離95kmで到着。
▲休憩している時間に充電することがBEVで快適に移動するコツ
そこでも150kWの急速充電器が運良く空いており、再び独占で充電。同時に食事などもとっているとあっという間に30分が経過しました。充電後バッテリー容量は76%、走行可能距離307kmまで回復。なんと、東京~大阪を1回の充電で走破できるのです。もはやBEVの走行距離が短いというのは単なる思い込みと言えるレベルまでクルマとインフラは進化していると言えるでしょう。
▲60台のGクラスが集まったミーティング。記念にGの文字を作った
日曜日にも関わらず、全く渋滞がなく無事東京に到着。バッテリー残量は16%、走行可能距離は70kmで東京~大阪往復1033kmを駆け抜けました。今回のロングドライブの平均電費は3.4km/kWh。最近試乗した国産のBEVで最も売れているモデルが7.0km/kWhだったので、搭載しているバッテリー容量が大きいおかげで走行可能距離はそれほど変わらないということになります。
▲インフラの充実によりG580 with EQでも東京〜大阪の片道を充電1回で走破できるようになり、ストレスは感じなくなった
BEVのメリットを最大限に享受するためには、自宅に充電施設がないといけないことに変わりはありませんが、150kWの急速充電器、旅行先の宿泊施設に6kWhの普通充電があるなどの条件を揃えることができれば、エンジン車とBEVの利便性に差はないところまで来ていると実感したロングドライブでした。
今回のロングドライブ記事でG580 with EQ Technology Edition 1にご興味を持たれた方は、ぜひ宮園輸入車販売のセールススタッフまでお問い合わせください。
(萩原文博)
萩原文博(はぎはら・ふみひろ)
AJAJ会員。大学在学中から中古車情報誌の編集部にアルバイトで参加。卒業後は編集者として企画立案し、ページ制作を行う。2006年からフリーランスエディター/ライターとして独立。2015年からは、新車カタログ本製作を担当し年間200台以上の新車試乗・撮影を行っている。
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