Gクラスの電気自動車を導入し、さらにメルセデス・ベンツのEVシリーズが充実しました。ここではおさらいとして現在販売されているメルセデス・ベンツの電気自動車(BEV)の車種解説とCEV補助金という国の補助金の金額も紹介します。あわせて最新モデルの試乗インプレッションと、インフラの充実度もお届けします。
──────────────────
エンジン車と電気自動車との違いをハッキリ表現したモデルを導入
自動車ライターの萩原です。
先日、メルセデス・ベンツ最新の電気自動車(以下BEV)である「G580 with EQ Technology エディション1」をオンロードそしてオフロードで試乗してきました。オンロードではまるで高級サルーンのような高い静粛性とフラットな乗り心地。一方のオフロードは急坂のヒルクライムや、片輪が浮くようなモーグル(凹凸のある道)などを走行すると、モーターならではの細かい制御により、どんな路面においても高い安定性を発揮することにBEVの今後の可能性を感じました。
メルセデス・ベンツは、輸入車ブランドの中でも多種多様なBEVをラインアップしているメーカーです。エントリーモデルの「EQA」からラグジュアリーブランドの「マイバッハEQS 680 SUV」までユーザーの使い方に合わせて、ベストな一台を選ぶことができます。
今回は、一部改良したメルセデス・ベンツEQAで試乗を行い、実際の電費やインフラの充実を確認します。さらに、メルセデスが販売している全BEVの車種紹介と補助金の金額についてご紹介します。
電気自動車は航続走行距離が短い!はもう過去の話

▲バッテリー容量を変更し走行距離が591kmまで延びたEQA250+
今回試乗インプレッションを行ったのは、2024年4月に登場した新型の「EQA250+」です。車両本体価格771万円のEQA250+は、フロントに最高出力190ps、最大トルク385Nmを発生する電気モーターを搭載し、前輪を駆動させるFFのレイアウトを採用。搭載するバッテリーを70.5kWhの高電圧バッテリーに変更し、満充電時の走行可能距離は591 kmまで伸長しています。
試乗コースは、新宿から中央道で河口湖へ向かい、国道139号線などで富士宮まで抜けて、新東名から東名高速で東京へ戻るという、富士山をぐるりと一周する約300kmの道のりです。
新宿から河口湖までは上りが続くため、電費性能は4.4kWhとやや厳しめでしたが、標高の高い河口湖から富士宮への下りは5kwhにまで回復。新東名・東名の高速区間は、アクティブディスタンスアシスト・ディストロニックを使用したことで最終的に6kWhという優れた電費性能を発揮しました。
急速充電器よりも100%にできる普通充電器の拡充がカギ

▲新東名高速、駿河湾沼津SA上りは6台同時に充電可能
EQA250+は6.0kwhまでの普通充電と100kWまでの急速充電(チャデモ規格)に対応しています。今回のインプレッションでも、途中の新東名高速、駿河湾沼津SAで急速充電を利用しましたが、到着時59%のところ、30分の休憩中に89%まで回復。しかも6台同時に充電できるなどインフラの拡充も実感しました。
BEVのメリットは自宅など駐車中に充電することで、出発時にはいつでも100%で出かけられることです。したがって
現在のところは充電器を設置できる一軒家のユーザーしかそのメリットは享受できません。しかし最近は時間貸し駐車場に6kWhの普通充電器が設置されはじめています。駐車料金は必要となりますが、停車中に充電するというBEVのメリットを実感することができます。

▲100%まで充電できる普通充電器の普及がBEVの販売台数を増やすキーとなりそう
そこで気になるのは、BEVにまつわる補助金関連の最新事情でしょう。BEVの補助金には、国の補助金である「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金、通称「CEV補助金」と呼ばれるものと、東京都やそのほか自治体の行っている独自の税制優遇があります。今回は国の補助金であるCEV補助金に絞って説明します。
輸入車で補助金82万円が出るケースははほとんどない
CEV補助金は、車両性能をはじめ、充電インフラの整備、アフターサービス体制の確保及び災害時の地域との連携など「自動車分野のGX実現に必要な価値」に基づき、各自動車メーカーの取り組みを総合的に評価し、補助対象や金額を決定します。
補助金の金額はBEVの場合、上限が85万円(軽BEVは55万円)です。これまでのように、クルマの性能だけでなく、
充電インフラを充実させること。修理・メンテナンスなどのアフターサービス体制を充実させることなど自動車メーカーの取り組みも補助金に影響をあたえるようになりました。
今回試乗したメルセデス・ベンツEQA250+が満額の85万円となったのはメルセデス・ベンツのBEVに対する取り組みが高く評価されたということでしょう。
CEV補助金は52万〜82万円で車種によって異なる
■EQB

▲EQB350 4MATIC
全長約4.7mというボディサイズの中に7人乗り3列シートのレイアウトを採用したBEVが、2022年7月に導入された「EQB」です。2830mmというロングホイールベースを活かして、最大7名乗車や大きな荷物も積載できるなど日常の使い勝手も両立したユーティリティの高いモデルです。
2024年6月に変更を行い、内外装を変更。特にフロントグリルは、メルセデス・ベンツBEVの最新デザインを踏襲し、立体的なスターパターンをあしらったグリルを採用しています。インテリアは、新世代のステアリングホイールを採用し、ナビなどの各種設定や運転支援機能の設定を手元で完結できるようになりました。
また、夜間走行時に無数のスリーポインテッドスターを助手席前部のインテリアトリムに浮かび上がらせる「スターパターンインテリアトリム(バックライト付)を採用し、夜間のドライブのインテリアを華やかに彩ります。
「EQB250+」は、最高出力190psを発生するフロントにモーターを搭載した前輪駆動車。また「EQB350 4MATIC」は前後にモーターを搭載し、最高出力は292psを発生。こちらは四輪駆動車となります。いずれのモデルも、70.5kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しますが、満充電時の走行可能距離はEQB250+が557km。EQB350 4MATICは467kmとなっています。
・車両本体価格:811万~899万円
・CEV補助金額:65万円
■EQE セダン

▲EQE53 4MATIC+
メルセデス・ベンツのBEVの中で、3ボックスタイプのコンサバティブなスタイリングのセダンは2022年9月に導入された「EQEセダン」だけです。メルセデス・ベンツの典型的なシルエットとは異なる、キャブフォワードのデザインは空力という機能性も兼ね備えた先進の美しさを表現しています。くわえてEQEセダンはバッテリーを床下に搭載するBEVならではの低重心により、ミドルセダンに求められる操縦性の高さも特徴といえます。
インテリアは、コクピットディスプレイ、有機ELメディアディスプレイ、有機ELフロントディスプレイ、フロントディスプレイ(助手席)を1枚のガラスで覆うワイドスクリーンが特徴です。そのまわりを細いシルバーのフレームやエアアウトレットを組み込んだルーバー状のトリムなどが囲み、非常に先進的に仕上げられています。
「EQE350」は、リアに最高出力292psを発生するモーターを搭載。満充電時の走行可能距離は624kmを実現しています。一方、「AMG EQE 53 4MATIC+」は、フロントとリアに電動パワートレインを搭載し、最高出力625ps(RACE START使用時は最大687ps)と圧倒的なパフォーマンスながら、満充電時の走行可能距離は526kmとロングレンジとなっています。
・車両本体価格:1251万~1925万円
・CEV補助金額:52万円
■EQE SUV

▲EQE53 4MATIC+ SUV
日本の道路事情にあったボディサイズと取り回しの良さ、広い室内空間とラゲッジスペース。そしてSUVの使い勝手の良さをすべてもつオールランダーが2023年8月に登場した「EQE SUV」です。BEV専用のプラットフォームを採用するだけでなく、BEVならではのパッケージの有効性を活かした外観デザインではCd値0.25という従来のSUVでは達成できなかった高い空力性能を実現しています。
「EQS SUV」が7人乗りの3列シート仕様に対して、「EQE SUV」は5人乗りの2列シート仕様となります。ラゲッジルームは5人乗車時で520Lの容量を確保。さらにリアシートの背もたれをすべて倒すと最大で1675Lまで拡大します。リアシートは40:20:40の分割可倒式なので多彩なアレンジが可能です。
EQE SUVは、前後に電動パワートレインを搭載。そして90.6kWhの新世代大容量リチウムイオンバッテリーを採用することで、「EQE350 SUV」は最高出力292psを発生し、満充電時の走行可能距離は528kmとなっています。一方、「AMG EQE 53 4MATIC+SUV」は最高出力625psを発生し、満充電時の走行可能距離も474kmとなっています。
・車両本体価格:1294万~1611万円
・CEV補助金額:52万円
■EQSセダン

▲EQS450+(写真の仕様・装備は、日本仕様と異なる場合があります)
2022年9月に日本市場にメルセデス・ベンツ初のラグジュアリーBEVとして、導入されたのが「EQS」です。空力という機能性を兼ね備えた先進の美しさを表現した外観。そしてこれまでにないレベルの静粛性が特徴です。
またBEVは航続走行距離が短いと言われますが、2024年11月に登場した新型EQSはバッテリー容量を増やすことで、759kmというロングレンジを実現しました。
2024年11月に変更を行い、「EQS450+」の外観では伝統的なクロームルーバーラジエターグリルとボンネットマスコットを採用し、BEVのSクラスに相応しいデザインへ刷新。また新たに設定されたエグゼクティブシートにより後席の快適性をさらに向上しています。
また「EQS450+」はバッテリー容量を118.0kWhに増やし、満充電時の走行可能距離は、日本最長となる759kmを達成しています。また、最高出力658psを発生するパワートレインを搭載したAMG EQS53 4マチック+も659kmとロングレンジを実現しています。
・車両本体価格:1535万~2395万円
・CEV補助金額:52~68万円
■EQS SUV

▲EQS450 4MATIC SUV
2023年5月に日本市場に導入された大人7人がゆったりと快適に過ごすことができる質感の高い室内空間をもつSUVが「EQS SUV」です。メルセデス・ベンツ初のBEV専用プラットフォームによるSUVで、優れた空力性能を実現した外観デザインによりCd値0.26という空力における機能性を兼ね備えた美しさを表現しています。
インテリアは、一貫したデジタル化が施されていて、3枚の高精細パネルとダッシュボード全体を一枚のガラスで覆うMBUXハイパースクリーンを採用しています。また2列目シートは前後130mmの電動スライド機能を標準装備し、背もたれには電動リクライニング機能を備えています。
さらにEQS SUVはシートヒーターを備えた3列目シートも標準装備。3列目シートに乗車するために、2列目シートにはイージーエントリーが標準装備となっています。またラゲッジルームは、3列目シート使用時の195Lから2列目シートを倒した2020Lまで用途に合わせてアレンジ可能です。
EQS SUVはすべてのモデルで前後に電動パワートレインを搭載し、駆動方式は4WDとなります。「EQS 450 4MATIC SUV」は最高出力360psを発生し、満充電時の走行可能距離は593km。「EQS580 4MATIC SUV」は最高出力544psを発生し、満充電時の走行可能距離は589kmと高出力とロングレンジの走行距離を両立しています。
・車両本体価格:1629万~2012万円
・CEV補助金額:52万円
■マイバッハEQS SUV

▲マイバッハEQS680 SUV
洗練されたラグジュアリーを体現する至高のブランド「メルセデス・マイバッハ」が2024年8月に発売した初のSUV BEVが「EQS 680 SUV」です。マイバッハEQS 680 SUVは、メルセデス・ベンツのBEV、EQS SUVをベースに、高級感のある専用のフロントマスクやツートーンペイント、アルミホイールを採用。ラグジュアリーな外観はひと目でマイバッハとわかります。
軽い力で確実にドアを閉めることができるドアクロージングサポーターやディスプレイ操作でドア開閉可能な電動コンフォートドア(前・後席)を装備。インテリアは、植物由来の原料で加工したナッパレザーを使用するなど、環境を考慮したラグジュアリーな仕様となっています。
マイバッハEQS 680 SUVのパワートレインは、前後にモーターを搭載し、システム合計の最大出力は658ps、最大トルクは955Nmを発生。バッテリー容量は118kWhを搭載し、満充電時の走行可能距離は640kmとなっています。
また、オプションのファーストクラスパッケージ(4人乗り仕様)では、リアシートがセパレートとなり、ダイナミックセレクトの「マイバッハ」モードと合わせて極上の乗り心地を実現しています。
・車両本体価格:2790万円
・CEV補助金額:52万円
■Gクラス

▲G580 with EQ Technology エディション1
2024年10月に日本市場に導入されたのが、GクラスのBEVモデル「G580 with EQ Technology エディション1」です。Gクラスとしての伝統のデザインやオフロード性能はそのままに、BEVならではの革新的なドライブコンセプトによって内燃機関モデルでは味わえない全く新しいオフロード体験を提供するモデルです。
G580 with EQは、新機構の4輪独立式モーターを採用し、システムトータルで最高出力587ps、最大トルク1164Nmを発生します。この4輪独立モーターによってその場で旋回可能なG-TURN、回転半径を大幅に縮小させるG- STEERINGなど最先端のオフロード走行を実現しています。
G580 with EQは116kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを、最大4mm圧のスチール製ラダーフレームに組み込まれています。この大容量バッテリーと高効率なモーターによって満充電時の走行可能距離は530kmを実現しています。
・車両本体価格:2635万円
・CEV補助金額:52万円
BEVは、今回紹介するCEC補助金のほか、EQスタートパッケージなど電気自動車の購入サポートがあります。メルセデス・ベンツ正規販売店の宮園輸入車販売ならば、BEVの車両本体だけでなく、快適にBEVライフを送れる提案が可能です。興味を持たれた方は、話を聞いてみるのはいかがでしょうか。
(萩原文博)
萩原文博(はぎはら・ふみひろ)
AJAJ会員。大学在学中から中古車情報誌の編集部にアルバイトで参加。卒業後は編集者として企画立案し、ページ製作を行う。2006年からフリーランスエディター/ライターとして独立。2015年からは、新車カタログ本製作を担当し年間200台以上の新車試乗・撮影を行っている。
記事を検索
カテゴリーから探す
-
車種、モデル
-
購入ガイド
-
パーツ・アクセサリー
-
カーライフ
-
イベント・雑学
タグから探す
- EV8
- Q&A4
- アウトドア・キャンプ2
- お役立ち13
- カーナビ1
- カー用品1
- カブリオレ1
- カルチャー1
- グルメ12
- コーティング1
- コラボ3
- コレクション6
- スポーツ2
- セールススタッフ3
- タイヤ1
- ドライブ12
- トレンド11
- バッテリー2
- ファイナンスプラン2
- メカニックスタッフ3
- メルセデスミー2
- モータースポーツ2
- リモコンキー1
- レンタカー1
- 中野9
- 中野サーティファイドカーセンター3
- 保証4
- 保証プラス3
- 保険2
- 冬対策・雪対策2
- 名車名鑑2
- 夏対策1
- 宮園輸入車販売3
- 所沢BRセンター1
- 新型車10
- 来店予約2
- 武蔵野2
- 歴史1
- 残価設定ローン1
- 点検整備1
- 石神井4
- 純正部品1
- 西新宿7
- 西東京5
- 西東京サーティファイドカーセンター4
- 試乗車3
- 認定中古車14
- 豊島サービスセンター3
- 購入相談3
- 車検1
- 雑学11