2022.12.13

【EQ全車集合!】EQAからEQSまで「メルセデスEQ」まとめ

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2022年9月にセダン型のEQE/EQSが発表されたことで、いよいよ下はAクラス相当から上はSクラス相当まで,

電気自動車のフルラインナップが完成した「メルセデスEQ」。今はまだガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車をお乗りでも「いずれはEV」と考えている方も少なくないのでは? そこであらためてEQシリーズをおさらい。あなた好みの1台は見つかりますでしょうか。

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電気自動車といえば、『AKIRA』に登場する”金田のバイク”が子どもの頃のドリームカーだった、熊山です。

 

劇場版が公開された1988年当時、EVは夢のまた夢でしたがあれから30数年が経ち、既存の自動車メーカーのみならずベンチャー企業からも続々とモデルが発表され、「乗ったことはないけれど、路上で見かけたことはある」ていどの存在になってきたのではないでしょうか。

 

宮園輸入車販売が手がけるメルセデス・ベンツも例外ではなく、2019年EQCの投入で新たにプレミアム電気自動車ブランド「メルセデスEQ」をスタート。ことし2022年4月にはEQA、7月にEQB、そして9月にEQE/EQSと一気に4モデルを導入し、従来のAクラス相当からSクラス相当までのフルラインナップを完成させました。

 

「もうそんなにあるの?」と驚かれた方も少なくはないはず。はい、私もびっくりしました。

 

そこで今回は、現時点でのEQシリーズ全モデルを集めて見比べてみることに。これさえ読めば、ざっくりEQシリーズのラインナップと各車のポジションがわかる、そんな記事に仕立てております。

 

まず、はじめに現在販売中の全モデルをピックアップしてみましょう。

▲現時点で5モデルのメルセデスEQシリーズ。EQEとEQSのSUVタイプは「Coming Soon」

EQA 250(782万円〜)

EQB 250(788万円〜)/EQB 350 4MATIC(870万円〜)

EQC 400 4MATIC(991万円)

EQE 350+(1248万円)/Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+(1922万円)

EQS 450+(1578万円)/Mercedes-AMG EQS 53 4MATIC+(2372万円)

 

一部2000万円超えのお値段におののきますがいったん無視して、ご注目いただきたいのがEQの後に続くアルファベット。これが以前「A、B、C、E、S…?メルセデス・ベンツの車名の法則をおさらい」(https://www.miyazono-importedcars-sales.jp/blog/abces/)という記事でもお伝えした通り、車格をあらわしています。

 

すなわち、EQAはコンパクトモデルのAクラス相当、EQSなら高級サルーンのSクラス相当……というわけなのですが、必ずしも従来のヒエラルキーやボディタイプと対応しているわけではないのが、少しややこしいところ。実際──

 

EQA=GLA(SUV)

EQB=GLB(SUV)

EQC=GLC(SUV)

EQE=C/Eクラス(セダン)

EQS=Sクラス(セダン)

 

このようにEQA、EQB、EQCはSUVタイプ、EQEとEQSはセダンタイプという内訳なのです。諸説ありますがEQEはEクラスではなく、Cクラス相当という意見もあってややこしさに拍車をかけています。実際、ガソリンモデルではCクラスの車格が上がりEクラスと区別がつきにくくなっているため、EQでもCとEを融合させつつあるのやも知れません(※個人の推察です)。

 

さらに事態をフクザツにするのが、いずれEQEとEQSにもGLEとGLSに相応するSUVタイプが追加予定ということでしょう。だったら、やはりEQEはEクラス相当?と考えたくなるものですが、EQCが3年前のモデルのため、今後どういう扱いになるのか予断を許しません。

 

それでは各モデルをチェックしましょう。

▲EQA 250(ポーラホワイト)。最高出力140kW(190PS)、最大トルク385N・m、一充電走行距離555km、全長4465×全幅1835×全長1610mm、車両重量1990kg

まずボトムラインのEQA。

 

FF(前輪駆動)タイプのSUVで、EQシリーズ中もっともコンパクトでリーズナブルなSUV型EVというポジションです。EQAに相当するガソリン車のGLAは、ハッチバックのAクラスの最低地上高をあげ、樹脂製フェンダーモールでSUV風味をくわえたオールテレイン的な印象でしたが、EQAはスタイリングも居住性も完全にSUVのそれ。次にご紹介するEQBがややスクエアで無骨なSUVだとすれば、EQAは流麗なフォルムの今風SUVといった風情です。国産車でいえばトヨタ・ハリアーや日産エクストレイル(3代目以降)のようなイメージで、個人的にはこれで十分と言いますか、日本の道路にぴったりサイズなのでは?と感じました。

 

▲EQB 250(デジタルホワイト)。最高出力140kW(190PS)、最大トルク385N・m、一充電走行距離520km、全長4685×全幅1835×全長1705mm、車両重量2100kg

続いて、EQB。

 

ガソリン車のGLB譲りのきもち角張ったクロカン車らしいデザインは、Gクラスに憧れる層をも受け止めつつ、そこまで大きいサイズでもなく最大7名乗車できる3列シートも使い勝手がよいため、EQシリーズでも本命中の本命モデル。FFモデルなら値段も搭載モーターもEQAとほぼ一緒か、まったく変わらないので、もはや見た目と用途で選んで問題ないでしょう。居住性はEQBがやや上ですが、そのぶん取りまわしの良さはEQAに分があります。いずれにせよ人も荷物をたくさんのせたい、さらには4MATIC(四輪駆動)が欲しいという場合はEQB一択と言えるでしょう。

 

▲EQC 400 4MATIC(グラファイトグレー)。最高出力300kW(408PS)、最大トルク765N・m、一充電走行距離400km、全長4775×全幅1885×全長1625mm、車両重量2470kg

そして古参のEQC。

 

デザインテイストは現在主流である流線型のSUVで、EQAの兄貴分といった印象。デフォルトで4MATICしか選べないため、車両重量も2470kgと決して軽くはありませんが、その分モーターの出力とトルクはパワフル。一方で燃費ならぬ電費的にはEQAやEQBに比べると不利ではあります。いずれにせよ2022年末時点でメルセデスEQのSUVカテゴリーにおけるフラッグシップでもありまして、居住性や質感といった”プレミアムカーとしての風格”という点では、他(車)の追随を許しません。

 

▲EQE 350+(ポーラーホワイト)。最高出力215kW(292PS)、最大トルク565N・m、一充電走行距離624km、全長4955×全幅1905×全長1495mm、車両重量2360kg

ここからはセダンタイプとなるEQE。

 

古くからのメルセデスファンからしますと、選択肢にのぼるのはEQE以上となるのかもしれません。なぜなら伝統的な後輪駆動を採用しているから(しかもFRではなくRR!)。車重は2630kgとかなりのモノですが、背中から突き上げる加速感と、ハンドリングの良さはモーター駆動の恩恵のひとつと言えるかもしれません。セダンタイプの低重心と相まって、自ら運転を楽しみたいドライバーズEQとしてはベスト・バイ、と言いますかオンリーワンの存在かもしれません。

▲EQS 450+(オブシディアンブラック?)。最高出力245W(333PS)、最大トルク568N・m、一充電走行距離700km、全長5225×全幅1925×全長1520mm、車両重量2530kg

最後にフラッグシップのEQS(セダン)。

 

デザインテイストはEQEと似たワンモーションの流線型フォルムながらも、同車に比べるとさらに大きく質感もアップするため、もはやショーファードリブン(お抱えのドライバーが運転し、オーナーは後部座席に乗る)的な性格が強まるEQS。事実、運転席に座ったブログ編集部・大森も「EQEまではお馴染みのサイズ感でしたが、EQSは別モノ。雲の上の存在という感じがする」とため息をもらしておりました。お値段もプレミアムの極みですが、げんざいSクラスセダンのオーナーにとっては買い替え候補としては最有力。今後登場するであろうEQS SUVとどちらを選ぶか悩ましいのではないでしょうか。

 

今回はエクステリアとインテリアの簡単なチェックのみでしたので、本格的な走りや乗り心地、電費といった試乗記はお届けできないのですが、ここまで全5モデルを見たブログ編集部スタッフの感想を聞いてみました。

▲メルセデス・ベンツ中野のパーキングスペースにズラッと並んだEQシリーズ

「平凡な感想になっちゃいますけど、EQSはもちろん、意外とEQBも間近で見るとかなり大きい印象でした。キャラクター的にはEQAとEQC、EQEとEQSが似ていて、それぞれ大と小のお好きな方を選んでください、というメッセージなのかも」とは岩崎の弁。たしかに。そう考えるとEQBだけ異質な存在ですよね。7人乗れますし。

 

「女性が見てもかわいいのは本格的なSUVっぽいEQBでした。大森さんがEQSが大きい!と言ってましたけど、丸っこいデザインのせいなのかガソリン車のSクラスほど威圧感はなくて、意外と小さいんじゃないかと思いました。もっとも、まだ免許がなくて運転できないのでわかりませんけど(笑)。免許を取ったらEQBが欲しいです」と話すのは佐藤。

 

「もともとBクラスに乗っていることもありまして、しっくり来たのはEQA、EQB、EQCあたりですね」とは先ほどEQSのレビューにも登場した大森。

 

かくいう熊山は、冒頭にも申し上げましたがEQAが好感触でして、「GLAはちょっと乗用車っぽいなあ」と敬遠していた方でも納得のSUV感を備えているなと感じました。

 

最後に鍵を比較してみましょう。

▲左からEQS、EQE、EQC、EQB、EQAの鍵

面白いことにちょうどS/E(第5世代)とC/B/A(第4世代)ではっきりと鍵の種類が異なっておりました。これはSUVタイプとセダンタイプとで分けたのか、あるいは電子イグニッションシステムの世代で分けたのか、単純に車格で分けたのかわかりません。いちばん有力なのは「世代別説」ですけども、今年デビューのガソリン車のCクラスの鍵が第5世代なのに、同じく今年デビューのEQAとEQBが第4世代なので、くわえて「車格別説」も加味されているのやも。いずれにせよ突然の仕様変更で、ある時期の入荷分から鍵の種類が変わることも、特に半導体不足のご時世はありうりますので、深く考えても無駄かもしれません。

 

なお、EQSとEQEでは黒いボタンのあしらいが、光沢あり/なしで違ってましたので、ここは車格で変えているのだと思われます。

 

以上、メルセデスEQのざっくりまとめでした。みなさんが欲しい1台はどれでしょうか? ご意見お寄せいただけますと幸いです。

 

(熊山准)

<プロフィール>

熊山准(くまやま・じゅん)

中古車情報誌『カーセンサー』(リクルート)編集部を経て、ライターとして独立。クルマに限らずおもちゃ、家電、ガジェットなどモノ全般が大好物。現在はライフワークの夕焼けハントが嵩じて東京と沖縄で二拠点生活中。いま欲しいメルセデス車はAクラスセダン

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