2022.09.06

SUV全盛のいまあらためて注目したいステーションワゴンという選択

クルマ

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人も荷物も広々使えて、見晴らしがよく、走りもスタイリングもそこそこスポーティとあって、アメリカを中心に世界的なブームを巻き起こしているSUV。ここ日本でもアウトドア趣味やキャンプでの需要が追い風となって国産車、輸入車を問わず引く手あまたです。そのぶん、納期も厳しく中古車価格も高騰気味。そこであらためて注目したいのが、かつてのRVブームの片棒を担いだステーションワゴンという選択です。

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1990年代のRVブーム直撃世代の熊山です。

 

当時はパジェロやランクル、ハイラックスといったクロスカントリー四駆がムーブメントを牽引していましたが、現在の主役といえば、そうスポーツユーティリティヴィークル、SUV。人も荷物も広々使えて、見晴らしがよく、走りもスタイリングもそれなりにスポーティとあって、アメリカを中心に世界的なブームを巻き起こしています。もちろんここ日本でもアウトドア趣味やキャンプでの需要が追い風となって国産車、輸入車を問わず引く手あまた。メルセデス・ベンツでもとりわけGクラス、GLA、GLBの需要が半端なく、納期やら中古車価格やらがえらいことになっているのはみなさんもご存知の通りです。

 

そこであらためて注目したいのが、かつてのRVブームの片棒を担いだステーションワゴンという選択です。

 

ステーションワゴンといえば忘れてならない立役者がスバル・レガシィ。レガシィ以前にも輸入車と一部の国産車を中心にステーションワゴンというジャンルはございましたが、多くの日本人が抱いていた「ワゴン=商用バン」のイメージを一掃させ、アウトドアはもちろんビジネスや冠婚葬祭のシーンでも耐えうる存在にまで格上げさせたのは間違いのない事実でしょう。

 

以降さまざまなフォロワーが登場したのですが、あれから30年、ステーションワゴンというジャンルは息も絶え絶えなのが現状です。

 

かつては各メーカーの各クラスごとに必ず1車種はラインナップされていたステーションワゴンも、いまやメーカーごとに1、2車種あるかないか。コンパクトクラスはホンダ・シャトル、ミドルクラスはトヨタ・カローラツーリング(フィールダー)など、もはや1クラスあたり1車種にまで市場が縮小しています。

 

しかし輸入車だとまだまだ元気。メルセデスだけでもCLAシューティングブレーク、Cクラスワゴン、Eクラスワゴンと3車種もラインナップ。SUV色を強めたオールテレインまで含めると計5車種もございます。ディーラーでも依然人気で、メルセデス・ベンツ中野のセールスマン・佐藤光佑さんによると、毎年のように日本割りあて分の在庫は売り切れてしまうのだとか。これは年々SUVの輸入台数を増やしている分、ワゴン系が仕入れが減っているというのも原因のひとつではあるそうですが、依然として高いニーズがあるのは間違いないようです。

 

▲オールテレインまで含めると計5車種も揃える(メルセデス・ベンツ日本より)

ではなぜステーションワゴンがおすすめなのでしょうか。

 

まずは何より、走りの良さが挙げられます。セダンベースゆえSUVと比べて重心が低いステーションワゴンは、ロールも少なく地を這うようなドライビングが楽しめるのです。もっともその分、アイポイントも低め。ミニバンやSUVの見晴らしの良さに慣れている同乗者にはやや不評かもしれません。ただ、全高が低いおかげで立体駐車場に難なくつっこめるというメリットもございます。

 

同じく最低地上高(地面からボディ底面までの距離)も低いため、たまにキャンプ等で未舗装路や不整地に乗り入れるという方は不安を抱くかもしれません。そんなときは最低地上高が高められ4WD走行もできるオールテレインがおすすめです。

▲もともと2ドア車の後部座席に狩猟用品を載せたのが起源とされるシューティングブレーク。クーペデザインがベースなので流麗なデザイン

▲Eクラスステーションワゴンなら後部座席を倒せば大人2人が寝られるほどの広々車内に

次に推したいのが積載性の高さ。上下方向はSUVが広いため、たとえば同クラスで比較すると総容積ではSUVが若干大きいものの、奥行きがあるので車中泊などのシーンではむしろステーションワゴン/オールテレインの方が有利と言えます。

▲CLAシューティングブレークはE/Cクラスに比べると奥行きも横幅もやや狭めながら、工夫をすれば車中泊もOK

そして、これが肝心。SUVに比べれば納期が短めです(とはいえ、前述したように流通量が限られているのでご注文はお早めに)。

 

では中古車ならかなり値ごろなのでは?と思いきや、メルセデスの中古ワゴンは依然人気が高く、タマ数もセダンよりも少ないため意外と相場はお高めなんだとか。それもこれも新車を購入する層はコンサバティブなお客さまが多く、いまだステーションワゴン=商用バンのイメージが根強いため、流通の絶対数が少ないからなのだそう。逆に言えばリセールバリューは高いということで、思い切って新車で選んでしまうのもアリかもしれません。

 

以上、あらためて見直したいステーションワゴンの魅力でした。筆者も記事を書いているうち、CLAシューティングブレークがありなんでは?と思い始めてきましたよ。

 

(熊山准)

<プロフィール>

熊山准(くまやま・じゅん)

中古車情報誌『カーセンサー』(リクルート)編集部を経て、ライターとして独立。クルマに限らずおもちゃ、家電、ガジェットなどモノ全般が大好物。現在はライフワークの夕焼けハントが嵩じて東京と沖縄で二拠点生活中。いま欲しいメルセデス車はAクラスセダン

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