スマートフォンの進化はもはやカメラの進化と言っても言いすぎではないでしょう。そのスマートフォンで愛車を撮影する機会も多いと思います。今回は年間約200台のクルマを撮影しているライターが、スマートフォンでもプロに匹敵する写真が撮影できるコツをご紹介します。
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クルマ写真撮影の極意は光を均一にすること
ライターの萩原です。
私は、新車カタログ本制作のため年間約200台の新車を撮影しています。主に外観(エクステリア)撮影用の70~200mmの望遠ズームと、車内(インテリア)撮影用に24~105mmの広角ズームの2本を使用しています。しかし近年のスマートフォンのカメラの性能はめざましく、国内外のモーターショーやイベントの速報記事はスマートフォンひとつで撮影と執筆をおこなう人も増えています。
▲万が一の場合に備えてカメラ本体は2台使用。レンズ交換の手間を省ける
手軽にキレイに撮影できるスマートフォンのカメラですが、ひと工夫するとプロと変わらない写真を撮影することも可能です。今回は、クルマの撮影をスマートフォンでおこなう際に「ココにこだわればプロ級の写真が撮影できる!」というポイントを紹介しましょう。
ちなみに今回の撮影はメインカット以外は少し古いスマートフォン(i Phone XS)でおこなっていますので、最新機種ならば、もっとキレイに撮影できることでしょう。
▲今回の撮影に使用したC200d ラグジュアリーセダン。まさに全部付きの快適サルーン
今回、撮影に使用したクルマは2025年4月にC200/C200d(セダン/ステーションワゴン)に追加されたC200dラグジュアリー。上質な本革シートやBurmester3Dサラウンドサウンドシステム、パノラミックスライディングルーフなど快適なアクセサリーが標準装備されたモデルです。なお車両本体価格は914万円となっています。
カメラで撮影する際に、特に重要なポイントが
①露出
②撮影場所(構図)
③アングル
です。露出とは写真の明るさのこと。本来は被写体に(この場合クルマ)や周辺の環境に合わせて測光という作業を経て明るさを決めなくてはいけませんが、スマートフォンのカメラは非常に優秀で特に何もしなくても適正露出、つまりちょうどよい明るさに調整してくれます。したがって撮影者は②撮影場所(構図)と③アングルに集中すれば良いということになります。
まず撮影場所(構図)ですが、外観そしてインテリアに関わらず、影を落とさず明るさを均一にするということが最大のポイントとなります。外観の撮影をする際には、ボディのフロントだけでなく、サイドにも光が当たるように順光(撮影者の背後から太陽が当たる)にクルマを置くようにしましょう。ただし、順光で撮影すると色が鮮やかに出る反面、サイドのラインなどそのクルマが持つ大きな魅力や特徴が目立たなくなってしまうこともありますので注意しましょう。
続いてのポイントは、できるだけ背景は単調にすること。こうすることでクルマが強調されます。ほとんどの自動車カメラマンが外観撮影用に望遠ズームを使うのは、背景のボケが大きく、クルマの輪郭を浮かび上げて存在感がを強調させるからです。また、遠くから撮影するとクルマのスタイルを正しく描写するという意図があります。
したがってクルマを撮影するときはクルマの背景を空(堤防などの高い場所に駐車する)やコンクリート壁など単調にして、望遠レンズで撮影するとクルマのスタイルを損ねること無く撮影できるのです。
具体的に、多くの方が愛用されているiPhoneの近ごろのモデルで言いますと、外観全体をキレイに収めたい場合はクルマから数m離れて、3倍(75mm相当)から8倍(200mm相当)ていどの光学品質の範囲内でズームして撮影すると良いでしょう。望遠カメラがないモデルではデジタルズームもありますが、画質が低下するため2〜3倍ていどで収めておくほうが無難です。
▲曇りならば問題ないが、晴れの日ならばインテリアの撮影は日陰でおこなうとキレイに撮影できる
一方、インテリアを撮影する際は、日陰にクルマを入れて光の状態を均一にすることがポイントです。インストルメントパネルなどに陽が当たると光の部分と影の部分がムラになって非常に見栄えが悪くなるからです。シートやエンジンなども同様に日陰で撮影するとキレイに撮影できます。またシルバーのエンブレムやアルミホイールなども日陰で撮影すると金属感が強調されてクールな印象が強調されます。
iPhoneで車内全体を撮影する場合は、ワイドレンズ(16mm相当)か標準レンズ(24mm相当)で十分です。車内の一部分やエンブレムなど細部を撮りたい場合は、2〜3倍(50〜75mm相当)ほどズームするとよいでしょう。
▲日陰で撮影すると金属感が強調される
また外観を撮影する際に、順光の場所が見つけられない場合は、日陰(もしくは薄曇りの日)で撮影するのもOKです。スマートフォンで撮影すると、普通のカメラで発生しやすい“青かぶり”という症状も起きにくく、クルマのボディカラーがキレイに再現できます。また、サイドに入ったラインなどもキレイに浮かび上がってきます。
次はアングルです。下の正面から撮影した3枚の写真は同じ位置から高さを変えて撮影しました。同じスマートフォンで撮影してもかなり違うことがわかります。クルマの場合、人間の目に当たるヘッドライトの高さで撮影するとキレイに撮影できると言われています。
▲高さを変えて撮影した3種類のカット
一番上から170cm(視線)の高さ、ヘッドライトの高さ、地面の高さの順で撮影しています。同様に高さを変えてフロントのスタイリングを3枚撮影しました。
▲業界用語で「フロント左振り七三カット」と呼ばれるアングル。フロントマスクとサイドボディが3対7の比率となっている
170cmの高さから撮影した写真はCクラスの横方向のワイド感が強調される一方で、前後方向の長さはヘッドライトの高さで撮影した際により短くなっています。そのヘッドライトの高さで撮影した写真は、Cクラスの伸びやかなサイドラインとワイド感がしっかりと描写。最後のローアングルは最も迫力のある写真になっていますが、Cクラスらしいスタイリッシュさが少々欠けてしまったようです。
こうして考えてみると、クルマのカタチをしっかりと表現したい場合はヘッドライトの高さ。オーナーさんなど人を入れての撮影は170cmの高さから。そして迫力ある写真を撮影したい場合は、ローアングルが最適といえるかもしれません。もちろん好みは人それぞれ。もっともアピールしたいことが伝わることがでベストです。
▲一人でエンブレムを合わせるのは難しいので、友人などに見てもらいながら行いましょう。
最後に、細かいことですがホイールを撮影する際にはスリーポインテッドスターのエンブレムの角度を合わせること。ドライブ先の記念撮影など少しクルマが汚れている場合は、タイヤの砂埃などを落として黒さを戻すと写真が引き締まります。また、インテリアを撮影する際は、シートのポジションやエアコンの吹き出し口の角度を合わせておくと、もうプロと遜色のない写真に仕上がりますよ。
ぜひ、この点を踏まえて愛車を撮影してみてください。
(萩原文博)
萩原文博(はぎはら・ふみひろ)
AJAJ会員。大学在学中から中古車情報誌の編集部にアルバイトで参加。卒業後は編集者として企画立案し、ページ製作を行う。2006年からフリーランスエディター/ライターとして独立。2015年からは、新車カタログ本製作を担当し年間200台以上の新車試乗・撮影を行っている。
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