クルマの購入で悩ましいのは、どのモデルの、どのグレードの、どのオプションを選ぶか?ですけれども、それらと同じくらい、いやそれ以上に悩ましいのがボディカラー選びではないでしょうか。メルセデス定番のシルバーにするか、はたまた上品なホワイトか、落ち着いたブラックか、あるいは華やかなレッドか……。これら色選びにオーナーの個性は出るのでしょうか。長年宮園輸入車販売で営業を担当するセールススタッフが、独断と偏見で性格プロファイリングいたします。
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不人気色好きの熊山です。
実際いま沖縄で乗りまわしているクルマも、プラスチッキーでおもちゃっぽい水色のコンパクトカー。個人的には中古車情報サイトで見た途端にひと目惚れしたほど大好きなカラーリングなんですが、販売店では「不人気色なんでホワイトやブラックに比べるとコンディションのわりには安いんですよ」と言われフクザツな気持ちになりました。
クルマの購入で悩ましいのは、どのモデルの、どのグレードの、どのオプションを選ぶか?ですけれども、それらと同じくらい、いやそれ以上に悩ましいのがこのようなボディカラー選びではないでしょうか。
メルセデス・ベンツでいえば、定番のシルバーにするか、はたまた上品なホワイトか、落ち着いたブラックか、あるいは華やかなレッドか……。近年ではグリーンやイエローといった変わり種、さらには限定カラーも用意され、選択肢が広がる一方、悩みは尽きません。
しかし、これらクルマの色選びにオーナーの個性は出るのでしょうか。
やはり熊山みたいなトンチキな人間は派手めなボディカラーを選び、品と教養をかねそなえた善良な市民はモノトーンを選ぶのでしょうか。そこで、長年宮園輸入車販売でセールスを担当する、メルセデス・ベンツ西東京の石舘淳一氏を直撃。あくまで経験にくわえて独断と偏見で、ボディカラー選びに基づくオーナーの性格をプロファイリングしていただきました。
と、その前に人気のボディカラーの傾向ってあるんでしょうか?
「あります。近年はもう7割がたブラックを選ばれるお客様で占められています。次いでホワイト。この白黒でほとんどの売上が構成されていますね。私がセールスをやり始めた20年前だと、ここまでブラックは人気がなく、シルバーがそのポジションにいました。メルセデスといえばイメージカラーはやっぱりコーポレートカラーでもあるシルバーを想起され、選ばれる方が多かった」
ちなみに、なぜメルセデス=シルバーなのかというと、1934年のグランプリレース時、重量制限をクリアするためナショナルカラーのホワイト塗装を削ぎ落としアルミのシルバーボディむき出しで参戦しみごと優勝に輝いたから。以降、メルセデスのレーシングマシンは「シルバー・アロー」と呼ばれ支持された歴史があるのです。
なのにブラック?
「昔はブラックといえばハイヤーのイメージが強く、選ばれる方が少なかったんですけどね。最近は特に若い世代に好まれます。高い年齢層になると、やはりハイヤーのイメージが根強いのかホワイトの比率が高まります。また、ホワイトは価値が落ちにくくリセールバリューが高いので選ばれる面がなきにしもあらずです。一方で、一気に需要が減ったのがブルー、いわゆる紺ですよね。そもそも在庫する数も減ったので、どうしても青が欲しくて待つという方を除けば黒でもいいかとなる。私の印象でいうと、ネイビーがすべてブラックに移行しちゃった感じです」
フォルクスワーゲンやBMWはコーポレートカラーということもあり依然ブルー系は人気ですけど、たしかに紺のベンツってまったく見なくなったかもしれません。かたやレッドは?
「赤は、どうしても赤じゃないとダメというこだわりを感じますよね。ネイビーに比べると『納車を待ってでも乗りたい』という方が多い印象です」
なかには「赤い彗星、シャア」をイメージされたり?
「シャアはいないですけど(笑)、定年退職された消防士さんが赤を選ばれたことはあります」
変わり種のイエローは?
「ソリッドなイエローって久しくラインナップされていなかったので、刺さる人には強烈に刺さるみたいで、私も2台ほど売ったことがあります」
じゃあやっぱり個性的な人が買われるんですかね。
「それがそうでもなくて。もちろんホワイトとかシルバーは『あんまり目立ちたくない』という控えめな方が多い傾向にありますけど、だからといって個性的な人がレッドやイエローを選ばれているかというとそうでもなく、かえってファッションが派手な方もモノトーン系を選ぶんですよ。つまり、主人公はクルマじゃなくてあくまで自分なんです。レッドやイエローは、クルマが主人公なので、意外とオーナーさんは控えめだったりします」
なるほど、それは面白い分析ですね。
「ただ、ホワイトとひと口に言ってもいろいろありまして、20万円近く追加料金がかかるパールホワイトを選ぶ方と、通常のホワイトを選ぶ方でも違いはあります。やはり色だけに20万円がかけられるのは、コスパをこえた相当なこだわりがあるんですよね。特に昔はAMGにしかパールホワイトが設定されていなかったので、ずっと憧れていた人にするとリーズナブルとも言えるんです」
いやはや興味深い。
みなさんはどんなボディカラーのメルセデスが欲しいでしょうか? そしてその色はご自身の性格を反映していると言えるでしょうか?
ちなみに熊山がメルセデスを買うならシルバー、しかもガンメタリックがいいなと思っているんですが、これも「主役はクルマではなく自分」という傾向を反映しているのか、はたまた「オーセンティックで歴史があるクルマといえば、ほぼ無塗装の無骨なシルバー系」との先入観があるのか、自分でもよくわかりませんが、なにはともあれボディカラー選びであれこれ悩んだり相談にのっている時間ってけっこう楽しく、まさしくクルマ選びの醍醐味ではありませんか。
というわけで、みなさんからもボディカラーと性格にまつわるご意見をお待ちしております。
(熊山准)
<プロフィール>
熊山准(くまやま・じゅん)
中古車情報誌『カーセンサー』(リクルート)編集部を経て、ライターとして独立。クルマに限らずおもちゃ、家電、ガジェットなどモノ全般が大好物。現在はライフワークの夕焼けハントが嵩じて東京と沖縄で二拠点生活中。いま欲しいメルセデス車はAクラスセダン
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