2024.12.05

知っているようでよく知らない“マイバッハ”をおさらい

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メルセデスのブランドには、通常のメルセデス・ベンツのほか“究極のパフォーマンス”を追求したメルセデス・AMGと、“究極のエクスクルーシブ性”を追求したメルセデス・マイバッハが存在します。AMG、マイバッハともに元々は別の会社でしたが、ダイムラーの傘下に入っています。今回はそのうちメルセデス・マイバッハについて解説。名前は聞いたことあるけど実際どんなブランドかよくわからない、という方は必読です。

 

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■ラインアップにBEVを追加し新しいラグジュアリーを提案■

 

ライターの萩原です。日ごろ自動車カタログの制作を担当しているので、様々なクルマに触れる機会があります。メルセデス・マイバッハは、どの車種もいつまでも乗っていたくなるような極上の乗り心地が印象的です。

 

さる2024年8月、メルセデス・マイバッハブランドから初の電気自動車(BEV)のラグジュアリーSUV「メルセデス・マイバッハEQS 680SUV」が発売されました。ぱっと見ただけで、メルセデス・ベンツの最上位BEVモデルのEQS SUVとはまた異なるオーラを感じます。

 

と、ここで気になるのが、そもそもマイバッハというブランドの存在。名前や車を見聞きしたことがあるという人は多くても、実際「メルセデス・ベンツの上位ブランド」以上の知識を持っている方は意外と少ないのではないでしょうか。

 

そこで今回は最新モデルのメルセデス・マイバッハEQS 680SUVの紹介とともに、ブランド「マイバッハ」を掘り下げてみたいと思います。

 

■「最善の中の最善をお届けする」という哲学■

 

「最善の中の最善をお届けする」というフィロソフィーは、カール・マイバッハと父親のヴィルヘルムが1921年に「マイバッハ 22/70 HP W3」をベルリンモーターショーで発表した際に発した言葉です。それは同時にメルセデス・マイバッハが、こんにち世界屈指の独自性をもつ超高級車ブランドとなる「種」が撒かれた瞬間でもありました。

この日以来、このフィロソフィーはマイバッハブランドの中核思想となり、マイバッハに貼られるダブルMのエンブレムは、革新技術と洗練されたラグジュアリーの頂点を示すものとなったのです。

 

 

▲1921年に登場したマイバッハ・モトーレンバウ社のシリーズ生産車第1号となったW3

マイバッハ・モトーレンバウ社のシリーズ生産車第1号となったW3が1921年9月に発表された瞬間からひとつの伝説が誕生しました。

 

それはドイツ車初の4輪ブレーキを採用し、プラネタリーギアボックスと6気筒エンジンを組み合わせていました(1速で全車速域に対応)。さらに、豪華なウッドや本革張りのインテリアなど、その設計やデザインは当時の既成概念を打ち破り、走る芸術品のように多くの人を魅了しました。その後1952年のカール・マイバッハの引退を機に、ダイムラーが大株主となり、1961年に買収します。

 

マイバッハ社を代表するモデルといえば、1930年〜1939年まで製造されたマイバッハ・ツェッペリンDS8です。ツェッペリンは、ドイツ車で初めてV型12気筒エンジンを搭載したモデルで、豪華な車内装備とドイツの最新技術がふんだんに取り入れられていました。

 

第一次世界大戦後は自動車だけでなく、鉄道用車両のエンジンを製造。さらに第二次世界大戦後までは、ドイツ軍戦車のガソリンエンジンはマイバッハが独占していました。その後ダイムラー傘下となった後は、鉄道や船舶、産業用のディーゼルエンジンを生産してました。

 

2002年になって新時代を開くマイバッハ62が登場しますが、2012年にブランドはひとたび廃止となります。そして2015年にメルセデス・マイバッハとして生まれ変わるのです。

 

■現在のメルセデス・マイバッハは2015年から■

 

メルセデス・ベンツブランド傘下で、“究極のエクスクルーシブ性”を追求する威厳と風格を備えたブランド「メルセデス・マイバッハ」としてスタート。その第1弾モデルとなる「メルセデス・マイバッハSクラス」を発表したことは記憶にあるという方も多いのではないでしょうか。

 

メルセデス・マイバッハは、メルセデス・ベンツによる最新鋭のテクノロジーを備え、極めてゆったりとした室内空間にプレステージ感溢れるデザインとクラフトマンシップにより仕上げられた高級素材を随所に採用した新しい高級車の形、を謳っています。

▲ロングボディのSクラスのホイールベースをさらに延長したメルセデス・マイバッハSクラス

メルセデス・マイバッハSクラスの外観は、フラッグシップのSクラスの威厳のあるフロントマスクやクーペを思わせる流麗なフォルムはそのままに、Sクラスのロングモデルよりさらに20cm長いホイールベースとサイドのラインによってパワーとダイナミズムを強調しています。

▲メルセデス・マイバッハGLS 600 4マチックのフロントスタイル

さらにシリーズ生産100周年に当たる2021年、SUVの最高峰「メルセデス・マイバッハGLS 600 4マチック」が発売されました。同車は、メルセデス・ベンツのSUVをあらわす「GL」に、最高の車格をあらわす「S」が付いたその名のとおり、メルセデス・ベンツのSUVの中でも最大かつ存在感のあるボディサイズ。

 

オンロード/オフロードを問わない優れた走行性能を備えているGLSをベースにしつつ、メルセデス・マイバッハとしてふさわしい徹底的な改良を施し、究極のラグジュアリーSUVを体現したモデルに仕上がっています。

 

■SDGsを意識した素材を使用した最新BEV■

▲最新モデルのメルセデス・マイバッハEQS 680SUV

そしてメルセデス・マイバッハの最新モデルが、2024年8月に登場したばかりのメルセデス・マイバッハ EQS 680SUVです。メルセデス・マイバッハ EQS 680SUVは、メルセデス・ベンツのハイエンドBEVであるEQS SUVをベースに、高級感のある専用のフロントマスクやツートーンペイント、アルミホイールなどを採用。ひと目でマイバッハとわかるラグジュアリーな外観へと仕上げられています。

▲細かい部分にもダブルMのロゴ

その象徴が、フロントバンパーのエアインテークフロントサイドスカートにあるマイバッハパターン。またランニングボードにはメルセデス・マイバッハのエンブレムを配置し、特別感を演出しています。

▲DピラーにあしらったダブルMのエンブレム

サイドビューでは、クローム仕上げのBピラーが個性を際立たせます。特にBピラーからCピラーにかけての造形は、外観からもイメージできるほど後席空間の広さをアピール。Dピラーにも、ダブルMのエンブレムをあしらっています。

▲コーヒー豆の殻をなめし材の原料として使用したナッパレザー

インテリアは、ベース車のEQS SUVのデジタル技術に加え、上質かつサステナブルな素材が融合した高級感漂う空間。シート表皮にはサステナブルな方法で加工されたナッパレザーを使用。このナッパレザーは、コーヒー豆の殻をなめし材の原料として使用し、なめしに使用される加脂材も自然由来のものを採用しているとか。

 

オプションのファーストクラスパッケージを装着すると、リアシートがさらに快適な空間へ。独立した左右のシートの間には、専用シャンパングラス収納部と脱着可能な大型クーリングボックスを装備。さらに、センターコンソールには格納式テーブルと温度調整機能が備わったカップホルダーも配置されていて、まさにファーストクラスの座席ような快適な移動が楽しめます。

▲ペダルにもダブルMのロゴが刻印されている

メルセデス・マイバッハ EQS 680SUVに搭載されているパワートレインは、前後それぞれにモーターを搭載し、最大出力658ps、最大トルク955Nmを発生します。これほど高出力ながら満充電時の走行可能距離はWLTCモードで約640kmと充分。

 

4人乗り仕様のファーストクラスパッケージを装着するとリアシートはセパレートシートとなり、ダイナミックセレクトの「マイバッハ」モードとの相乗効果で、極上の乗り心地を提供。この極上の乗り味は、新幹線や飛行機を凌駕するほどです。

▲メルセデス・マイバッハSクラスのフロントスタイル

メルセデス・ベンツの正規ディーラーである宮園輸入車販売株式会社。ドイツを代表するプレミアムブランドに興味がある方は、宮園輸入車販売株式会社へお問い合わせください。

 

(萩原文博)

萩原文博(はぎはら・ふみひろ)

 

AJAJ会員。大学在学中から中古車情報誌の編集部にアルバイトで参加。卒業後は編集者として企画立案し、ページ製作を行う。2006年からフリーランスエディター/ライターとして独立。2015年からは、新車カタログ本製作を担当し年間200台以上の新車試乗・撮影を行っている。

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