2026.01.29

メルセデス・ベンツで修理が一番多い場所はどこ?【所沢BPセンター板金編】

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突然ですが、メルセデス・ベンツの板金修理でもっとも多い修理箇所はどこだと思いますか? フロントバンパー、ドア、それともホイール周り? 実はもっとも多いのはホニャララ。というわけで今回はメルセデスオーナーでもほぼ訪れることがない、メルセデス・ベンツ中野 所沢BPセンターにお邪魔して板金修理の現場を直撃します。

 

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大きな事故はないけれど、つまらない自損事故が多い熊山です。なんだか以前も使ったようなフレーズですね。

ともあれ、自損他損にかかわらずさまざまな事故・災害などによって愛車が損傷してしまった場合、お世話になるのが板金修理工場です。メルセデス・ベンツ正規ディーラーの宮園輸入車販売のネットワークでは、「メルセデス・ベンツ中野 所沢BPセンター」という板金修理工場を擁し、日々の事故車両の対応をおこなっています。

▲メルセデス・ベンツ中野 所沢BPセンター。中野ではなく所沢にあります

そもそもBPセンターのBPとは何なのか?

 

BはBODY、つまり板金で、凹んだり割れたりした破損箇所をメーカー基準に沿って修復=元に戻す部門。そしてPはPAINT、すなわち塗装で、板金で直った箇所を綺麗に塗り直す部門です。

 

さらに言えば、BPセンターはボディ専門の修理工場でもあり、エンジンや足回り、トランスミッションなど動力性能にまつわる部分の修理は、各ディーラー併設のサービス工場にておこなっています。なんとなく事故車はひとつの工場で修理しているような気がしますが、そうでもないんですね。

▲本文と並行して、BPセンターではどのように板金修理をおこなっているかを解説します。まずは、よくあるドアの凹みキズを用意してもらいました

そして、タイトルの問題に戻るわけですが、メルセデス・ベンツで一番修理が多い場所について、みなさんおわかりになりましたか? これはメルセデスに限ることではなく、実際自分も似たような箇所をぶつけてしまったことがあるのですが、その答えは──

 

左リアフェンダーです。

▲所沢BPセンター課長代理の福村 傑さん。板金歴10年。板金修理の実演はすべて福村さんにご担当いただきました。

そんなことを教えていただいたのは、所沢BPセンターで板金を担当する福村 傑(すぐる)さん。

 

というわけで今回はBPセンターにて「板金修理って、実際どんなことをしているのか」、そして「なぜ“直せそう”なのにまるごと交換になるのか」といった、誰もが抱く素朴な疑問をぶつけてみました。

 

さて、左リアフェンダーの損傷が多い理由はとてもシンプル。縦列駐車時や左折時、ドライバーから死角になりやすいのが、左後方。少し寄せすぎてしまったり、思ったより内側を巻き込んでしまったり。大きな事故ではなくても、「ゴツン」と当ててしまいやすい場所が左リアフェンダーなのです。

▲傷の裏側にドリー(当て金)をあてて、表からハンマーで凹んだ傷を平らにならします

ちなみに、前後バンパーも修理件数は多いものの、バンパーは基本的に交換になるケースがほとんど。板金作業として最も多いのは、やはりリアフェンダーだといいます。

 

ここで、多くの方が疑問に思うポイントがあります。ちょっとした凹みなら、直せそうなのになぜ交換になるのか? 板金の現場での答えは、意外とドライです。

 

福村さん(以下、福村):技術的に直せないことは、ほとんどありません。でも判断基準は、直せるかどうかではなく、コストに見合うかどうかなんです。

 

板金修理では、「作業にかかる工数」「部品代」「メーカーが定める安全基準」といった条件が、事前に細かく決められています。そのため、「直すことはできるけれど、時間もコストもかかる」場合は、交換した方が合理的という判断になるのです。

▲凹みを戻したら、塗装が剥がれて荒れたボディ表面をやすりでなめらかにします

もうひとつ、意外に知られていない事実があります。

 

福村:実は、板金担当者が「ここは修理」「ここは交換」と現場で自由に判断しているわけではありません。修理内容は、アドバイザーが作成した見積もりの段階で決まっており、板金担当者はその内容に従って決められた工程で、元の状態に戻す役割を担います。勝手な判断や自己流の修理は行いません。

▲やすりで削った跡は、まるで地層のような塗装皮膜があらわれます。ここをパテで埋めてフラットな塗装下地を作ります

ここにも、メルセデス・ベンツの品質基準が貫かれているようですが、意外にも粛々と作業されている風にも見えます。福村さんが、板金の仕事でやりがいを感じる瞬間はあるのでしょうか?

 

福村:やっぱり、大きく凹んだクルマが自分の手で元に戻ったときですね。

 

板金の仕事は決して派手ではありません。完成後には、ほとんど見えなくなる部分も多い仕事です。それでも、歪んだボディが少しずつ本来の形に戻っていく過程には、確かな手応えがあります。

 

事故に遭った車が、また普通に走れる状態に戻る。それを見ると、やってよかったなと思います。

▲他の部分ですが、パテが乾いて完成したのがこちら。この後、塗装部門にバトンタッチされます

こうして、形を元に戻したボディは、次に塗装工程へと引き継がれます。板金が「形」を戻す仕事だとしたら、塗装は「違和感を消す」仕事。実はそこには、“メルセデス・ベンツの白は何色あるのか?”という、奥深い世界が待っています。

 

というわけで次回は、BPセンター塗装工程を直撃します。お楽しみに!

 

(熊山 准)

熊山 准(くまやま・じゅん)

中古車情報誌『カーセンサー』(リクルート)編集部を経て、ライターとして独立。クルマに限らずおもちゃ、家電、ガジェットなどモノ全般が大好物。現在はライフワークの夕焼けハントが嵩じて東京と沖縄で二拠点生活中。いま欲しいメルセデス車はCLAシューティングブレーク

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