1886年にカール・ベンツが世界初のガソリン自動車の特許を取得してから140年。メルセデス・ベンツには、長い歴史を持つモデルがいくつもあります。そしてメルセデス・ベンツの正規ディーラーには、専門のメカニックが一台一台を入念に仕上げるクラシックカー専門店「ALL TIME STARS®」があります。今回は宮園輸入車販売が手がけるメルセデス・ベンツ中野 ALL TIME STARSから、メルセデスの伝統的なモデルを紹介します。
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正規ディーラーのクラシックカー専門店、ALL TIME STARS®
新車はもちろん、自分が運転免許を取得した頃のクルマにも思い入れがある高橋です。
旧車、クラシックカー、ヴィンテージカーなどと呼ばれるクルマたちには、現代のクルマにはない独特の味わいがあります。
一方で、クルマは数万点の部品が複雑に組み合わされた機械であるため、製造から年月が経つと部品の劣化、故障などが理由で廃車されていきます。そのため時間の経過とともに現存する台数が少なくなるのが世の常。くわえて古いクルマは整備方法なども現代のクルマとは異なる部分があるので、クラシックカーを専門に扱う中古車店で販売されるケースが増えていきます。
輸入車の正規ディーラーでは主に新車と認定中古車を扱っていますが、メルセデス・ベンツの正規ディーラーの中には「ALL TIME STARS®」というクラシックカーを専門に扱う店舗もあります。同店の魅力やこだわりについて、メルセデス・ベンツ中野 ALL TIME STARSの鎌倉店長に話をうかがいました。
▲メルセデス・ベンツ中野 ALL TIME STARS 店長・鎌倉隆史さん
妥協なく補修・整備するのが正規ディーラーとしてのこだわり
──メルセデス・ベンツのクラシックカーを扱う中古車販売店は多くありますが「ALL TIME STARS®」は何が違うのでしょうか。
鎌倉隆史(以下、鎌倉):一番大きな違いは、正規ディーラーならではの安心感だと思っています。この看板を背負う以上、たとえ製造から年数の経ったクルマでもご購入いただいた方が安心してお乗りいただけるものでなければなりません。だから私たちは「これなら大丈夫」と思えたものだけを仕入れたうえで一切妥協せずに整備や補修を行い店頭に並べています。
──具体的にはどういう整備を行うのですか?
鎌倉:クラシックカーの世界では、たとえばウッドパネルのひび割れやシートの破れなど、ヤレが出ているものでも「古いクルマならではの“味”」ととらえる傾向があります。しかし我々はそれらを“味”ではなく“痛み”ととらえ、補修や整備の対象とします。クラシックカーでもっとも苦労するのは純正部品探しです。すでに生産が終了して本国にも在庫がないケースもよくあります。
私たちは世界のパーツ販売店とネットワークを構築することで、純正部品が見つからなくても整備できる態勢を整えました。とはいえ、それでも仕入れから店頭に並ぶまでに約2年かかったケースもあるんですけどね。
──2年!? そんなにかかることもあるというのは驚きました。
鎌倉:正規ディーラーが扱うクラシックカーを仕上げるためには時間もコストもかかります。「そこまで手間を掛けなくてもいいのではないか」と言われることもありますが、お客様が正規ディーラーに寄せる安心と信頼、そして期待を裏切るわけにはいきませんから。
──ALL TIME STARS®ならではの強みはどんなところにあると考えていますか?
鎌倉:ALL TIME STARS®で扱うクルマは、私が入社した頃に新車として扱っていたモデルが中心になります。この時代の整備は今のようにテスターに繋いで調整するという仕組みではないので、いいコンディションに持っていくためには、目で見て、音を聞いてという感性に頼る部分が多くなります。そのため正規ディーラーのスタッフとして長年従事して、新車時の乗り味をわかっている経験は、仕入れや整備をするうえで大きな強みになっていると感じています。
▲メルセデス・ベンツ中野 ALL TIME STARSの店内。明るい雰囲気でゆっくりクルマを見ることができる
──製造から時間が経っているクルマはこれまでに何人ものオーナーが乗り継いできているので、さまざまな形で手が加えられています。それをオリジナルに近い状態に仕上げるのは大変そうです。
鎌倉:確かに大変ではありますが、オリジナル状態にこだわり続けることが、正規ディーラーとしてやるべきことと考えています。一方で店頭に並ぶクルマにはそのクルマが新車だった頃の流行をさりげなく取り入れたりもしています。
たとえば80年代は購入後にカスタムを楽しむ人が多かったので、「きっとこういう風に乗りたかっただろうな」ということを思い出しながら、ホイールやステアリングを純正とは違うものにしてアクセントを効かせているものもあります。
──お客様は若い頃にメルセデス・ベンツの新車に憧れた人が多いのですか?
鎌倉:そうですね。ただ、最近は30〜40代のお客様も増えています。お父様が憧れていたメルセデス・ベンツに乗りたいとご来店いただいたり、早朝の首都高速を旧いメルセデス・ベンツでクルージングしてから仕事に向かったりと、若い方々のクルマの関わり方を伺っていると、私も楽しくなります。
──最後に正規ディーラーが扱うクラシックカーに興味を持っている方にメッセージをお願いします。
鎌倉:ALL TIME STARS®で扱っているのはどれも品質に自信を持っているクルマで、お客様からご好評をいただいております。最近では口コミが広がり、多くのお客様にご来店いただいています。最初にお話したように当店で扱うクルマは仕上げに時間がかかるため、「仕上がったら教えてください」と予約されるお客様もいらっしゃいます。クラシックモデルに興味がある方はぜひ一度お店に遊びに来ていただき、私たちのこだわりを感じていただきたいですね。
▲新目白通りに面した店舗。東京都中野区江原町1-13-26
50年以上の歴史があるモデルたち
ここからは「ALL TIME STARS®」でも見つけることができる、50年以上の歴史を持つメルセデス・ベンツのモデルたちを紹介します。写真は「ALL TIME STARS®」の展示車両を中心に掲載します。
■Eクラス
▲展示車両は1992年式のW124型500E。走行距離は10万7200km。
Eクラスという名称は1985年に登場したW124型のマイナーチェンジ(1993年)で初めて使用されました。それ以前はミディアムクラスと呼ばれていました。歴史を紐解くと、1946年に登場したW136型まで遡ります。
▲ステアリングやセンターコンソールのウッドの輝きは35年近く前に製造されたものとは思えないほど
人気があるのは1976年に登場したW123型やその次世代モデルであるW124型。Eクラスと言えばセダン以外にステーションワゴンやクーペ、カブリオレなど、さまざまなボディタイプがラインナップされます。その中で、ステーションワゴンはW123型からラインナップに加わりました。
W124型には、開発やチューニングにポルシェが関わった500E(1994年モデルからはE500)もラインナップされました。
▲1994年式のAMG E320T 3.6。走行距離は13万9350km。価格は支払総額1650万円(車両本体価格1620万円)
▲名機として名高いM104エンジンをAMGが3.6Lにボアアップ。展示車はヘッドカバーが再塗装されていた
■SLクラス
▲ミッドナイトブルーのボディカラーがシックな1987年式の560SL(R107型)。こちらの車両は商談中
SLの歴史を紐解くと、サーキットにたどり着きます。1952年、モータースポーツ用の軽量・高性能プロトタイプとして300SL(W194型)を発表。このモデルはさまざまなレースで活躍しましたが、中でも有名なのがル・マン24時間レースでの勝利です。
実はプロトタイプを開発した時点では市販化の予定はなかったといいますが、レースでの活躍で市販化を望むことが大きくなり、1954年にガルウイングの300SLクーペ(W198型)と廉価版の190SL(R121型)が発表されました。
▲インテリアはオリジナルにこだわらず、SLらしい華やかなイメージに仕上げられている
「ALL TIME STARS®」で人気があるのは、1971年に登場した3代目(R107型)と、1989年に登場した4代目(R129型)。車名のSLは元々”Sport Leicht”(軽量スポーツカー)を意味していましたが、R107型以降はラグジュアリー性が高くなり、“Super Luxury”に変わっていったと言われています。
▲アークティックホワイトの1987年式560SL。走行距離はわずか5万2140km
▲こちらはオリジナル状態を保つ形で仕上げられている
■Sクラス
▲Sクラスという名称が使われてからは2代目となるW126型。現在のSクラスとは異なる重厚感がある
メルセデス・ベンツを象徴するラグジュアリーモデルであるSクラス。この名称は1972年に登場したW116型から使用されています。系譜を辿っていくと、1951年にデビューしたW187型までたどり着きます。その歴史には「フィンテール」「羽根ベン」と呼ばれたW111型や、ロングボディが初めて用意されたW108型もラインナップされます。
「ALL TIME STARS®」で人気があるのは1979年デビューのW126型。取材時点では店舗に実車がありませんでしたが、この堂々としたスタイルに憧れた人も多かったのではないでしょうか。派生モデルでクーペのSECも用意されました。
▲シンプルだが上品なインテリア。スイッチ類は操作ミスを防止する
W126型は世界で初めてABSや運転席エアバッグを搭載したモデルでもあります。
ゆったりした時間が流れるクラシックカー
50年以上の歴史があるモデルには、長く人々に支持されてきた理由があります。
Eクラスは、プレミアム性が与えられながら高い実用性があること。
Sクラスは、プレミアムモデルにふさわしい上質さと最先端の装備が搭載されること。
SLクラスは、ラグジュアリーとスポーツ性を高次元でバランスさせていること。
そして、クラシックなモデルには最先端のクルマにはない空気感があり、ここに惹かれる人が多くいます。
ただ、クルマは機械製品なので、古くなると故障のリスクもつきまといます。だからこそ信頼できるショップが高い技術で整備していることが安心感につながるもの。正規ディーラーが扱うクラシックカーなら、これまで古いクルマに乗ったことがない人も安心できるはずです。
今回は50年以上の歴史があるモデルを紹介しましたが、「ALL TIME STARS®」ではまだ50年の歴史はないクラシックモデルも扱っています。ご興味がある人はぜひ一度、メルセデス・ベンツ中野 ALL TIME STARSに足を運んでみてください。
(高橋 満)
※掲載内容は取材当時の情報です。価格、仕様、在庫状況等が現在と異なる場合や、商談中・売約済みとなっている場合があります。
高橋満(たかはし・みつる)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経て1999年にエディター/ライターとして独立し、自動車、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。最近ゴルフデビューをして、Eクラスステーションワゴンのようなラゲッジが広くて快適に移動できるクルマに興味津々。
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