DやRなど、トランスミッションの操作に欠かせないシフトレバー。普通は運転席と助手席の間やインパネ中央付近にレバーがついていますが、メルセデス・ベンツの最新モデルはどこにもシフトレバーがありません。では、シフトレバーはどこにあって、どうやってクルマを動かすでしょうか。初めてメルセデス・ベンツを運転する人でも戸惑わないように、メルセデス・ベンツ独自の「ダイレクトセレクトレバー」の操作方法を紹介します。
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ステアリングの右側にセレクトレバーを配置
撮影で新型車に乗るたびにシフト操作に戸惑う高橋です。
オートマチックトランスミッション(AT車)のシフトレバーというと、センターコンソール付近に大きなレバーがあり、それを前後に動かして前進(Dレンジ)や後退(Rレンジ)、駐車(Pレンジ)を選びます。
▲W116型Sクラスのゲート式シフトレバー。ギザギザのシフトゲートが特徴的
レバー動かす際はグリップ部分についたボタンを押しながら操作するのが一般的ですが、かつてメルセデス・ベンツではシフトレバーが通る道(ゲート)がギザギザになっていてシフトチェンジ時の誤操作を防ぐ「ゲート式シフトレバー」を採用していました。
しかし現在のメルセデス・ベンツのクルマにはゲート式のシフトレバーはついておらず、センターコンソール付近はスッキリ広々としたデザインになっています。
「シフトレバーがないってことは、どうやってクルマを動かすの?」
メルセデス・ベンツが欲しいと思って初めてディーラーを訪れた人は、試乗時に戸惑うかもしれません。
▲メルセデス・ベンツ中野 サーティファイドカーセンターの小柳裕司さん
長年、メルセデス・ベンツ認定中古車のセールスを担当している小柳さんに話を聞くと「確かに初めてお乗りになる方から『操作方法がわからない…』と質問されることもあります」とのこと。
実は、現在のメルセデス・ベンツのシフトレバーはステアリングの右側についているんです。日本車だとウインカー、輸入車だとワイパーの操作レバーがある位置ですね。このシステムは「ダイレクトセレクトレバー」と呼ばれ、2005年に登場したW221型Sクラスから採用されています。
▲ダイレクトセレクトレバーを初搭載したW221型Sクラス
小柳さん(以下、小柳):一般的なシフトレバーは操作時にステアリングから手を離し、場合によってはレバーを目視してシフトポジションを確認しなければなりません。でもダイレクトセレクトレバーはステアリングから手を離さずに指先で簡単に操作できるので、慣れるととても楽ですよ。
私も最初に乗ったときは「どれがシフトレバー?」と慌てましたが、使い方をマスターするととても簡単。一般的なレバーが煩わしくなるほど楽に操作できます。
▲ステアリングの右側にある黄色いステッカーが貼られたレバーがダイレクトセレクトレバー。
▲ちなみにステアリングの左側にあるのがウインカーとワイパーの操作レバーになる
ダイレクトセレクトレバーの使い方
というわけで、初めてのメルセデスでも戸惑わないように、ダイレクトセレクトレバーの操作方法を解説します!
■ブレーキをしっかり踏む
▲ダイレクトセレクトレバーを操作する際は、通常のATと同様にまずしっかりブレーキを踏みます
■レバーを下げると前進(Dレンジ)に入る
▲レバーをカチッという手応えがあるまで下げ切るとDレンジに入ります
▲シフトポジションはディスプレイに表示されます
■レバーを上げるとバック(Rレンジ)
▲レバーをカチッという手応えがあるまで上げ切るとRレンジに入ります
■レバー先端のボタンを押すと駐車(Pレンジ)
▲駐停車時はクルマが停車してからレバー先端にあるボタンをしっかり押すとPレンジに入ります
■レバーを少しだけ動かすとニュートラル(Nレンジ)
▲レバーを軽く上、または下に動かすとNレンジに入ります。
つまり、レバーを見ずとも「下方向でドライブ」「上方向でバック」「ちょっと動かせばニュートラル」「端のボタンを押し込むとパーキング」というように覚えておけば直感的に操作できるのです。
▲ダイレクトセレクトレバー
シフトロックの解除方法は?
万が一バッテリーが上がってしまったり、クルマにトラブルが発生してエンジンがかからない状態になったら、シフトをニュートラルに入れてクルマを押して移動させないといけないケースも考えられます。
一般的なATではシフト周辺にあるシフトロック解除ボタン(ボタン位置や解除方法は車種により異なります)を押すことでエンジンがかかっていなくてもシフトレバーを動かせるようになり、ニュートラルに入れることでクルマを手で押して動かします。
ダイレクトセレクトレバーはどのようにシフトロック解除を行なうのか。いざという時のためにチェックしておきましょう。
■ブレーキを踏まずにスタートボタンを押してイグニッションオン状態にする
▲ブレーキペダルを踏まずにスタートボタンを押すとエンジンはかからずにクルマの電気類が起動したイグニッションオンの状態になります。
▲イグニッションオンの状態ではメーター内に各種警告灯が点灯した状態になります。タコメーターでエンジン回転数がゼロ(エンジンが動いていない)ことも確認します。
■レバーを軽く動かしてニュートラルに入れる
▲ダイレクトセレクトレバーを軽く上または下に動かすとエンジンがかかっていなくてもNレンジに入ります。
■パーキングブレーキを手動で解除
▲ブレーキペダルを踏んで右足元にあるパーキングレバーを解除します。クルマが坂道に止まっている場合、ブレーキペダルから足を離した途端にクルマが動き出してしまうので要注意!
ダイレクトセレクトレバーはすぐに慣れる?
最後に、ダイレクトセレクトレバーを使ったことがない人からよく聞かれることとその回答を小柳さんに教えてもらいました。
- ダイレクトセレクトレバーにはすぐ慣れるものですか?
小柳:初めてメルセデス・ベンツに乗る方だとこれまで乗っていたクルマと操作方法が違うので最初のうちは戸惑うこともあるようです。でも、点検の際などにお客様とお話すると、「すぐに慣れたしとても使いやすい」とおっしゃる方が多いですよ。
- ウインカーと間違えてレバーを動かしてしまいそうですが……。
小柳:国産車からのお乗り換えだとウインカーレバーの位置にダイレクトセレクトレバーがあるので、誤操作を心配される方もいます。たとえば左ウインカーを出そうと思って走行中に誤ってレバーを上げても急にRレンジに入ってしまうことはないので安心してください。そして上の質問と同様に、すぐに慣れて自然に操作できるはずですよ。
- レバーに貼られた黄色いシールは剥がしても大丈夫ですか?
▲ダイレクトセレクトレバーであることを示す黄色いシール
小柳:レバーに貼ってあるシールは、これがダイレクトセレクトレバーであることを注意喚起しているものなので、基本的にはそのままの状態でお乗りになることをおすすめします。お客様の中にもわざわざシールを剥がして乗っている方はほとんどいらっしゃいませんね。ただ、剥がれたとしても機能面に影響はないので安心してください。
現在のクルマはドライバーのシフト操作を電気信号で伝える「シフト・バイ・ワイヤ」と呼ばれる電子制御技術を採用しているものが主流。そのため、ATシフトはデザインや操作方法、設置位置が自由になり、ジョイスティック型やボタン式など、さまざまなものが導入されています。
メルセデス・ベンツのダイレクトセレクトレバーもシフト・バイ・ワイヤ技術を用いたもの。楽にシフト操作ができるので、きっと驚くはず。ぜひ試乗していただき、その快適さを体験してみてください。
(高橋 満)
高橋満(たかはし・みつる)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経て1999年にエディター/ライターとして独立し、自動車、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。最近ゴルフデビューをして、Eクラスステーションワゴンのようなラゲッジが広くて快適に移動できるクルマに興味津々。
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